レンタルDVDで映画「おろち」を観る。
29歳――美しき姉妹を待ち受ける、悲しき運命のはじまり。
100年に一度永い眠りにつくことによって、不老不死の体を保ち、人の世を彷徨い続ける謎の美少女“おろち”。
行く先々で起こる、人の業からなる悲劇、惨劇を、時に自らの不思議な力を介入させつつ、“おろち”は見つめ続ける。
彼女は天使なのか、悪魔なのか・・・どこから来てどこへ行くのか・・・誰も知らない。
“おろち”が家政婦として潜り込んだ門前家には二人の美しい姉妹がいた。
門前家の女たちは誰よりも美しく生まれるが、29歳を過ぎる頃には突然美貌が崩れ始め、果ては化け物のように醜く朽ち果て、やがて死んでいくという。
ある日、妹の理沙は醜く崩れ死んでゆく間際の母親から、もう1つの門前家の秘密を打ち明けられる・・・。

本作は漫画「おろち」のオムニバス2篇、「姉妹」と「血」を基に作られた作品。
原作者の楳図かずお氏は“恐怖まんが”を世に送り出した天才漫画家であり、決してボーダーシャツを着たお騒がせオジサンでは無い。
(知らん人に念のため)
その傑作漫画を実写映画化するのだから、私の様な古いファンは色々と言いたいのだが・・・ちょっと問題がある。
それは
たしかに漫画「おろち」は心理的な恐怖とラストの意外などんでん返しが素晴らしい、当時としては斬新な作品だった。
しかし、楳図作品を見て育ったクリエーターたちが多彩な場面で活躍する現代。
特に“恐怖”が“ホラー”と名を変え、サブカルチャーとしての地位を確立し始めた頃より、楳図作品は何度となく映像化され、楳図作品の息子たちによるパスティッシュ作品も数多く作られたため、その作風は既に古典となっている。
初めて本作で楳図作品に触れる若者にとって、この恐怖に斬新さは感じられないだろう。
もちろん映画も怪談的な恐怖より、女性心理の恐ろしい部分を主題として描き出している作品で、私としては良く出来ていると思う。
木村佳乃、中越典子、谷村美月も好演だし、映像も楳図漫画の持つ雰囲気を上手く出している。

私は特に劇中歌「新宿烏」が聞けたのに感動した。
映像化された楳図作品に良作が少ない分、本作は今までで1番の出来と言っても過言ではない。
しかし物語の展開~どんでん返しとしては昨今のJホラーと比べるとインパクトに欠けてしまうのはいかんせん残念なトコ。
観客を驚かす事が主流となってしまったホラー映画に対し、この手のじっくりと恐怖を盛り上げる楳図作品はもう映像化は難しいのだろう。
まぁ、
よく考えると楳図作品の怖さはその“絵柄”にあるのだから、最初っから映像化は難しいのだけどね。
〈flyer〉■「おろち」 2008年/日本【107分】
監督:鶴田法男
原作:楳図かずお 脚本:高橋洋 音楽:川井憲次 主題歌:柴田淳
出演:木村佳乃/中越典子/谷村美月/山本太郎/嶋田久作/佐藤初/山田夏海/大島蓉子/エド山口
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テーマ:邦画 - ジャンル:映画
- 2010/05/19(水) 00:48:14|
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